江の島弁天橋・海ほうずきばあさんと屋台の思い出

相模湾に浮かぶ江の島へは、江の島弁天橋を歩いて渡る。
長い長い橋だが、風光明媚で潮風が心地よい。
でもって、さざえなどを香り豊かに焼く屋台も存在する。
ここも夫の関所である。

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といっても、去年の時点で2〜3軒しか見かけなかったし、
今年の状況は不明。
以前はもっと、ズラッと賑やかに屋台が並んでいたのだ。

その中で私が仰天したのは、「海ほうずき屋」だった。20年も昔のことだ。
飲み屋の屋台に混じって、いろんな意味で異彩を放っていたのだ。

確か青ペンキを塗ったベニヤ仕立ての小屋だったように思う。
舗道に向かって腰高の窓があり、台に海ほうずきとおもちゃ少々が並んでいた。
懐かしいなあ、子どもの頃、縁日で買ってもらった覚えがある身としては、
通り過ぎるわけにはいかない。

海ほうずきとは、巻き貝の卵が入っていた袋で、
柿の種や指の爪みたいな形と大きさの乾燥した袋だ。
これを唇に挟んで、ブーブー鳴らす。

そしてこの小屋には年配の男女が、ぎっちり4〜5人も収まって腰掛け、
舗道に向かって全員で「ブーブー」と、口を鳴らしていた。
何かすごい光景だ。
道行く私は、つい惹き付けられて覗き込む。

おばあさんが「やってみる?」と、商品を渡してくれた。しかし音が出ない。
するとおばあさんは、「んじゃあ、こっちでやってみて」と、
あろうことか、自分の口から真っ赤な海ほうずきを指でつまみ出すと、
台に置かれたお椀の水で、それをちゃちゃっと洗って、
私に差し出したのだった。

立ちすくんだ。
海面を照り返す強い陽光が、やにわに私に襲いかかる。

でもどうせ私のことだから、その真っ赤な少し柔らかみを帯びた海ほうずきを
口に含んだはずだ。音だって奏でたはずだ。

試奏後、我に返っておばあさんたちに話を聞けば、店の主はどうやら1人で、
後はご近所の仲良し連中が、ここに集っているのだといった。

最後に営業時間を聞いた。すると
「土曜日は半ドン」。
小屋の中から一斉に旧態然とした言語が飛び出した。どこまでもやるわい。
海ほうずき入りの小さなビニール袋を手にした私は、
皆のブーブー音に見送られて、青い店を後にしたのだった。

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そんな訳で、この日の私が食べたのは、

・マーマレードたっぷりの濃い紅茶
・パン
・今半のハンバーグ少々(さすが牛肉の老舗・美味)
・人参とアスパラガスのグラッセ
・プレーンヨーグルト・イチゴ入り

という朝食。
知り合いの方が、庭に実った夏みかんが原料の
自家製マーマレードを下さった。
紅茶にタップリ入れて飲むと、口中がピリリとわずかにしびれ、喉によい。
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by sibamataumare | 2008-05-19 19:06 | 地面すれすれ