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鶴見線に乗って歩いて食べる

東京湾岸は100年間で9割埋立てられてしまったが、
その創成期ともいえるのが、
実は鶴見線沿線だ。

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「都会のローカル線」と呼ばれ、ある方面では根強い人気を誇るこのJR線。
沿線住民と工場等の通勤以外、他所者にはほとんど用事のない電車だ。
ましてや工場が休みの週末等、ガラガラかと思いきや、
結構な人が「乗りに」来ている。

そういう私たち夫婦もだいぶ好きで、数年に一度は訪れる。
もっとも私たちは一応「人の生活を記録する」というお題目があるので、
「乗る」だけじゃなくて、駅から町へ降り立っては
とにかく歩き回る。歴史も調べまくる。

国道駅は、駅舎自体が魅惑の建築物で、お、いるいる。
カメラを構える人たち。
かつては臨港デパートとして賑わった。
「こっち側には米屋があったけど、それもやめちゃったね」
と、旧東海道側で近所の人が教えてくれた。
で、今は少しだけ商売をする他は、しもたやになっている。

この旧東海道沿いは、朝のうちはいきなり魚市場になっちまう。
寿司屋や料理屋の調理人が仕入れに来るのだが、
随分店が減ったなあ。
でも顔見知りの店は健在だ。

「早朝から仕事だからナイター中継なんて見らんないよ」といいながら
煙草をふかしていた貝剥きのおじさんはもういない。
剥いた貝殻が一面に敷き詰められた「貝殻海岸」の曖昧な空間は、
「貝殻公園」として整備され、柵に囲われてしまったが、
水辺に降り立つとやっぱりいい景色だ。

以前、この風景を子安の漁師さんに船から見せてもらったこともある。
町も徐々に変わっていくのだなあ、と、歩くたびに実感する。

安善も好きな駅で、コンクリート製の住宅は数は減ったがまだまだ健在だった。
煙草屋のおじさんは、今は店を開けたり閉めたり。
駅から東へ行くと石油タンク群で西へ行けば沖縄街。
工場労働者として大正時代から、沖縄出身者が多く住んでいる。
「生まれ育った那覇よりこっちのが、いろんな地方の沖縄方言が聞こえますね」
と、沖縄食材店のお兄さんはいう。
でもって、沖縄料理も美味だ。
ゴーヤチャンプルー,好きだなあ。

海に面した海芝浦駅は相変わらず心地よい。
脇の公園が思いきり綺麗になっていて驚いた。
電車出発までの20分ほどを、ベンチに腰掛けてつばさ大橋を眺めて過ごした。

鶴見線に乗る事自体も面白いが、
ひと駅ごとの町の様相がそれぞれに個性際立っているのがまた面白い。
何しろ、ひと駅ごとに魚市場だの沖縄街だの工場街だのと、
全然違う非日常感を味わえるのだ。

明日、6月28日(土)に、東京湾岸講座鶴見線編を行います。
よろしければおいで下さい。

お問い合わせ:風カルチャークラブ 0120−987−553





追記・以前の日記で往年の貝殻海岸写真を見つけた。
 2008年6月3日に書いたものだが、以前はこんな感じだったのだ。

by sibamataumare | 2014-06-27 06:28 | 日本中ぶらぶら