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仲買人はいらないと人は言う

先日の東京湾についての講座の続きだ。
どうしても気になることがひとつ。

いわく
「現在の流通ルートは、漁師が儲けられない仕組みになっている。
大卸や仲買が搾取しているので、直売がよろしい」。
これは、漁師自身からもよく聞かれる言葉だ。

うーん、どうなのだろう。
私はよくわからないながらも、
「生産者→消費者」あるいは「生産者→販売者」の直通ルートに、
そこはかとない危うさを覚えるのだ。

江戸時代、魚好きな家康が佃島に上方から漁師を呼び寄せ、
江戸前魚介を幕府に献上させた。
漁師たちは隅田川河口の佃島から日本橋川に入り、
江戸城まで舟で魚介を運んだ。
途中、余りの魚介を川岸で売りさばいた。
これが日本橋魚河岸の始まり、
つまり築地市場の前身といわれている。

ここに仲卸人や小売り人、行商人などが集まり、
現代の流通制度の原型が出来上がったという。

別に伝統を守れ、というだけじゃない。
「魚一匹で食っていける人が何人もいる」。
資源の少ない日本に於いて、これは実はとても大切なことで、
今流行の「ワークシェア」を、ちゃんと400年前からなし得ていたのだ。
そしてそれは、消費者自身も折り込み済みで納得していたのだ。

先日の会でも、水産省の方が言うには、
「スーパーの魚に比べて、行商など小売りの魚が高い理由は、
『情報を一緒に売る』からです」。
確かに近所の魚屋は、客の家族構成もよく知っていて、
食べ方や旬を教えてくれ、調理法に会わせて三枚におろしてくれたりする。
だからこの店には、ずっと営業していてほしい、
そんな気持ちで客は購入するのだ。

その方によれば、仲買人は本来、金持ちには高級な魚を、
庶民には大衆魚をバランスよく供給するのが仕事だったというが、
バブル期に猫も杓子も高級魚を買い漁ったため、
その旨味が忘れられずに歪んだ売買をし続けているのが、
今日の流通なのだと、確かそんな風に説明されていた。

だから、漁業者は漁協や仲卸などを通さず、直売すればいい。

うーん、やっぱり考え込んでしまうのだ。
私個人としては、知り合いの大卸や仲買人さんの顔が浮かんでしまい、
いらないなんて、とても思えないのだ。
彼らは実に魚を知っていて、
彼らが選んだ魚だからこそ、私たちは安心して美味しいものをいただけるのだと、
何となく感じているからだ。
漁業者もより良い魚を捕ろうと、精を出すだろう。

長くなるので、この続きは次に書く。

by sibamataumare | 2010-09-07 23:34 | 漁師