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ビルの狭間で鼻血を出している人

土曜日の朝、大都会の大通りに面したビルとビルの狭間に、
鼻の両方の穴にティッシュを詰めた男の人が、
膝を抱えて地面に座り込んでいた。

ビルの狭間で鼻血を出している人_d0149411_061182.jpg

一旦、通り過ぎたものの、視界の端っこに見えたその光景がどうにも気になって
数十歩戻ってポケットティッシュを差し出した。
男の人は、黙って片手を伸ばして受け取った。
カバンや紙袋を抱えて背中を丸めてしょぼくれているが、
よくよく見ればせいぜい30代。
「どうぞ」と声を掛けた瞬間、私にグッと向けられた、
怯えとも哀願ともつかない丸い目が、今も焼き付いている。

その後、私と夫は某ファーストフードでモーニングセットを頼んだのだが、
「このコーヒー、美味しくないなあ」と、2人とも半分残してしまった。
ならば1杯には最初から口を付けずに、
さっきの青年にあげれば、少しは体を温められたのだろうか、
などと、少々申し訳ない気持ちになりながら、先ほどの道に戻ると、
鼻血青年の姿はなくて、冬の午前中のからりとした日差しがその場を照らしていた。

実は、昨日の日記に書いた通り、
料理コンテストで料理界や水産界のお歴々にお会いして、
「私も頑張らなくちゃ」などと、ちょっと野望に燃えてみたりもしたのだが、
その次の瞬間に、鼻血青年に遭遇した。
私の浮き足だった心は、「生きる壮絶さ」を前に、
あっという間に吹き飛ばされてしまった。


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そんな訳で、この日の私が食べたのは、

・カフェラテとザワークラフト載せホットドッグ

某コーヒーショップにて、原稿書きと書評用読書の日曜日

by sibamataumare | 2008-12-14 23:48 | 地面すれすれ