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山谷で眠る

いきなりの大量アクセスもほとぼりが冷めたようなので、
山谷話の続き。
私たちがドヤにお泊まりした話。

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そもそも山谷は男の街で、長いこと女は宿泊することができないとされていた。
ところが、ベッドハウスではなく、もう少し豪華な「個室」の宿が、
近年、生き残りを計って、外国人向けの宿に鞍替えし、
更に日本人にも「安くて便利な宿」として、アピールしはじめた。
だから私も堂々と泊まりに行った。数年前のことだ。

数軒声を掛けてOKだったのは、当時で4軒。
それぞれ、中を全部見せてもらった。
夫などは飲みで遅くなると泊まったりしていた。

どこもトイレ・調理場共同、男性は風呂ありで、女性はコインシャワー。
結構きれいで、部屋が3畳弱という以外は、普通の安めの宿って感じだ。
外国人を中心に短期の旅行者と、長逗留、というよりは住んでいる人たちとの、
2種類が、フロアを変えたりして混在している。
中には、訳ありの夫婦者が住んでいたり、
外国人と同宿して言葉を覚えたいからと、定期的に泊まりに来る男性など、
思いの外、ほのぼのとしていた。

元々長年、国内では寅さん張りの行商宿を、
外国では安宿を好んで泊まり歩いている私たち夫婦にとっては、
山谷のドヤは、充分居心地がよかった。
3畳弱の室内には、膝の高さの窓、ちゃぶ台と座布団、
テレビと布団一式、鏡とハンガー。
しっぽりと収まりが良くて、しばらく住めるな、と思った。

女性用の浴室はないので、銭湯へ行った。
気持ち良く入浴後は、ロビーでビールを飲める。
帰りがけ、路上で寝る人の姿が視界の端にあるが、この辺はご愛敬だ。

居酒屋や食堂には困らないし、朝は喫茶店のバッハで美味しいコーヒーで目覚まし。
食料品店やコンビニには、1人用の総菜や白い牛乳、弁当が妙に充実しているのが、
ドヤの暮らしを、彷彿とさせる。
それから外人バーもある。

なーんて、感慨にふけっていたら、
数ヶ月前、地方から上京してきた知り合いの若い娘が、
あろうことか山谷のドヤに宿をとったと連絡がきた。
今の若い人たちにとっては、「ネットで予約できる安い宿」なのだと、
改めて驚いた。
たまたま知り合いの宿だったので、ご主人にご挨拶かたがた電話をすると、
「この頃は就活に長く泊まる若い人、多いですよ」という。

山谷は明らかに変わりつつあるのだ、と、改めて驚いた。

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そんな訳で、この日の私が食べたのは、

・かつお刺身香草載せ
・もやしと鶏ササミとキュウリとえのきの中華風サラダ
・味噌汁
・ぬか漬け など

夫作の美味しい夕飯。

by sibamataumare | 2008-10-08 23:58 | 地面すれすれ