河合隼雄さんが選んだ100冊の絵本・児童書リストを何故か私が持っている話

子どもの頃から、冒険が好きだった。
近所にある大きな森の家の敷地に忍び込んだり、
家々の裏側に巡らされた塀の上を、ひたすら歩いては怒られたり、
白樺の庭の奥にあるうす桃色の洋館に憧れたり、
自転車で行けるだけ遠くの町で迷子になったり、といったたわいないものだが、
夫も私もそのドキドキを、大人になっても忘れられなかったせいか、
いつまでもどこまでも「不思議な場所」を捜し歩いている。

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去年の秋口から冬場にかけて、ふとそんな気持ちがよみがえった。
きっかけは、絵本や児童書を読みふけったことにある。
その数,何と92冊。かなりの読み応えだった。
確かに子どもの頃、本の世界は心の冒険そのものだったのだ。
でもってこれはれっきとした仕事なのであった。

実をいうと、私はこのブログからは想像もできない分野の仕事も時折している。
その肩書きは何故か「教育ジャーナリスト」。

そっち関係の編集担当の方から、「河合隼雄さんの本のお手伝い」をと、
声を掛けていただいた。数年前の話だ。

何でも「絵本好きの河合さんが、絵本を心理分析して解釈する本」と作るとのこと。
私の仕事は、その本を集めることや雑用などのお手伝いらしかった。
手渡されたのはひとつのリストで、100冊もの絵本と児童書の名が連ねてあった。
内容もさることながら、「一流の方の仕事ぶりを間近で拝見したい」
という気持ちが一杯で、この仕事を楽しみにしていた。


なのに河合さんは、このリストをものした直後に倒れられ、
帰らぬ人となってしまったのである。
そのいきさつは、
air BE-PAL第1824号(2008年5月4日)に詳しく書いたので、
ご覧下さいまし。

でもって、そのリストは3月末に出版された、河合さん最後の連載エッセイ集である
「河合隼雄の“こころ”ー教えることは寄り添うこと」に収録されることになった。
氏の執筆原稿がない今、こうなったらしょうがないので、
そのリストをもとに私が全冊読破し、各本のデータやあらすじを書いた。
河合さんが最後に私に残して下さった宿題のように思えたのだ。
「全部読んだら、何かがわかるよ」。そういわれた気がした。

それにも増して、せっかく氏が最後に作成されたリストが活かされたことが、
嬉しくてならない。

読んでみると、岩波書店と福音館と偕成社と講談社の書籍が多くて、
私が子どもの頃に読んだような本も少なくないが、
(小さい頃から私も活字中毒だったのだ)
大人の私が読んでもグイグイと引きづり込まれる本ばかりなのにも驚いた。

その本の中の1分野が、「知らない不思議なところへの冒険」なのだった。
「トムは真夜中の庭で」「思い出のマーニー」「時の旅人」「はるかな国の兄弟」
「秘密の花園」「クラバード」「旅の仲間」などなど、
何度も同じ夢を見るかのように、幻想的な世界へと誘われ、
そしてすごいどんでん返しにビックリさせられるのである。

そんな時、河合さんが「ねっ!」と、にやにや笑いながら、
読者の反応を面白がられているような気がする。

何より私は、「92冊の絵本と児童書を読まなければならない」という、
この上なく贅沢な時間を過ごせたことに、
河合さんと担当編集者の方に、心から感謝している。

氏が最後に子ども向けの本を通じて伝えたかったことは、
何だったのだろう。
とうとう1冊の本になることはなく、
エッセイ集の巻末にひっそりと発表されているこのリストを、
少しでも多くの方にご覧いただけると嬉しいのだが。

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そんな訳で、この日の私が食べたのは、

・アジの干物やきんぴらや花豆煮や卵焼きや味噌汁などの朝食バイキング
・エビチリの弁当
・酢豚の弁当などなど

用事で熱海に行ってきた。
なのにさまざまな事情で、6食中5食が仕出し弁当。
これも美味であったが、それだけに
宿泊先での朝食バイキングには、燃えた。



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ところで、私と夫の著書「中古民家主義(交通新聞社)への誘い」イベント情報
をお知らせします。

4月24日〜5月6日 小写真展
5月10日 スライドトーク&淡路町・神保町界隈めぐり
6月25日 スライドトーク&谷中・千駄木界隈めぐり


写真展、面白いです。
どうぞおいで下さいませ。
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by sibamataumare | 2008-05-04 23:57 | 人物伝