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仲買人はいらないと人は言う その2

続きだ。

「でもせっかく漁師さんから800円の魚を買ったのに、
送料が4000円もかかったんですけど、送料を何とかできませんか」
先日の会で、ある女性が質問した。

「だからさ、違うだろう」と心の中で叫んだ。

ここで送料を何とかするということは、運送業にとってとんでもない打撃なの!
大量輸送で消費地市場に卸して、仲買人がそれを小分けに買って、
それをまた小売商や料理店が買うことで、
送料や彼らの手間賃や冷蔵代などを少しずつ分担する、
これが流通なのだ。

近場の漁業者が朝市などで売る魚を買う、或は直接宅配もいいだろう。
地産地消はとても大事だ。
でもたまには遠くで獲れた美味しい魚が食べたい。
そんな時、市場は本当に役に立っている。

それだけじゃない。
近頃見たニュースに身の毛がよだった。
「水揚げ値で400円の値が付くサンマが、
遠くのスーパーで100円で売られる怪」(詳しい値段は忘れた)。

なぜか?
先にスーパーマーケットで特売ありきだったからだ。
つまり「もうチラシにこの値段を書いて配布しちまった」からなのだ。

この場合は、間に仲買などが入っていることもあり、どこかが泣いたらしい。
いつか儲けられることもあるから、ということなのだ。

ひどい話ではあるが、
クッションがたくさんあれば、打撃を和らげることができる。
でも、これが漁業者とスーパーの直だったらとか、
中間が少なかったらどうなるんだろうと、考え込んでしまった。

消費者は、「安い」の裏にどれだけの人が泣いているのかをもっと考えるべきだ。
だからって安い輸入品に走る。ため息が出る。

それから漁師町を回っていると、
消費者と直接関わって直売できるほど、パワーのある漁業者や漁協なんて、
ほんの一握りだということがわかる。

多くは淡々と漁をして漁港に水揚げして、家に帰って飯食って風呂入って寝る。
高齢化もしているし、それが精一杯なのだ。
そんな彼らにまで、競争させようとするなら、
漁業者はもっと減ってしまうだろう。

利益や負担を皆で分け合って、
そこそこに生きることができる社会が、どれだけ大切な事か。

by sibamataumare | 2010-09-08 01:24 | 漁師